直刃と乱れ刃は、まず刃文として大別されます。直線的なものか、それ以外のものか、それが直刃と乱刃の刃文による違いです。しかし、調べていくと刃文の違いから波及して、時代や文化の影響も強く関わっていたことが
日本刀を語る上で、「刃文」は欠かせない存在です。実に数種類もの文様があり、時代・特色・系統が非常によく反映されています。
本来の刃文の美しさは刀に手に取り、光を当てることで確認できるものであり、その繊細でありながら荘厳な雰囲気を出すべく、当時の刀匠達は様々な意向を凝らしていました。
刃文は、刀を焼き入れする際に生じる模様のことです。
焼き入れとは、粘土性の焼刃土を刀身に塗り乾燥させた後、炉に入れて焼き加減を見ながら水槽で冷やす工程のこと、これにより刃文が生み出されます。
美術的・装飾的な要素も大きいですが、切れ味や刀としての価値自体にも影響を与える非常に重要な存在とされていました。
基本的な刃文の形は、大きく二つに分けられます。直線的な「直刃」と、直線でない焼刃の総称として「乱刃」です。直刃は、焼き幅の太さ・細さにより呼び方が変わります。
乱刃は実に幅広く、丁子の実を連ねた形として「丁子」、でこぼことして丸みを帯びた波線を「互の目」、これらの派生のほかに一風変わった「簾刃」、「皆焼刃」等の刃文があります。
少し変わった刃文の面白さとして、「沸(にえ)」と「匂(におい)」があります。
どちらも刃文における微細な粒子の模様であり、沸はやや粗目の為、光を受けることで星のようなかすかな輝きを漂わせ、匂いは肉眼での確認が難しいほどの微粒子の為、白い靄のように映ります。
これらは、刃文をより白く輝かせることから、刀匠達の技量の証明にもなりました。
刃文は日本刀の美しさの代表する部位であり、刀匠達の技術が込められています。
事前に少しでも知識を蓄えてから見に行くと、違った発見に出会えるかもしれません。美術館等で実際の日本刀を鑑賞する際には、ぜひ光の当たる個所を眺めてみて下さい。