日本刀の原料は鉄、銑、鋼です。日本の技術によって切れ味鋭く折れない、曲がらないなど丈夫さを兼ね備えた刀ができます。戦いの道具として使用されていましたが、現在では光り輝く美術品として価値が高いです。
時代劇などで刀を抜く前に、親指でクンと鍔を押して刃をわずかに覗かせる動作を見た経験のある人は多いと思います。
演出上の「チャキッ」と響く効果音もあいまって格好良いですよね。「鯉口を切る」というのは、まさに見慣れたあの動作のことを指しています。
鞘の空洞は刀身を傷付けない為に少し大きめにしつらえる必要があります。しかし鞘には刀身の保護と、我が身や周囲の安全性を確保する役割がありますので、スルっと抜け落ちてしまっては困りますよね。
その為普段は、柄と刃の繋がりの所に設けてある「ハバキ」と呼ばれる引っかかりに、「鯉口」と呼ばれる鞘の口がガッチリはまることで、抜け落ちないようになっています。
そしていざ必要となった時に、その引っかかりを親指などで鍔を押すことで外し、抜刀できる状態にすることを「鯉口を切る」というのです。「鯉口をくつろげる」という言い方もします。
鯉口を切らずにいきなり刀を抜くのは危険です。ハバキは鯉口に非常にきつくはまっているので、力任せに抜こうとすると引き抜いた時勢い余って周りや自分を傷つけてしまう恐れがあります。スムーズに安全に抜く為にはやはり最初に鯉口を切っておく必要があります。