日本刀の最大の特色ともいえる「反り」。
反りの役割については【日本刀の反りの意味:反りなしとの違いは?】にて紹介しましたが、実用面だけでなく芸術面においても重視され、日本刀鑑賞における見
日本刀は、作刀の過程の処理で、地と刃の境に「刃文」と呼ばれる模様が表出します。この刃文は、刀工や流派、時代等による独自性が最も顕著になる部分で、日本刀鑑賞における重要な見所とされます。そして刃文は直刃(すぐは)/乱れ刃(みだれば)に大別されます。
模様がまっすぐにでるタイプの刃文です。直刃にはさらに出方によって細直刃・中直刃・広直刃などに分類することができます。
直刃は乱れ刃に比べると一見変化に乏しく地味ですが、沸(にえ)・匂い(におい)などと呼ばれる、マルテンサイト(焼き入れの際に表出する細かい鉄の粒子)の細かい出方に違いがあり、意外に見所に富むのです。
沸(にえ)…マルテンサイトの粒子が大きいもの。
匂い(におい)…マルテンサイトの粒子が小さいもの。
波模様になっている刃文です。波の出方が小さいか大きいかで小乱、大乱などに分類されます。また波が非常にゆったりとしていて直刃に近い、大湾(おおのたれ)と呼ばれる刃文もあります。