日本刀の鞘の役割/材質/構造

saya20180412

 

刀身を包む覆い「鞘(さや)」。刀身の保護、携帯時に自分や周囲を傷付けないよう安全性を確保する役割があります。

 

日本刀の場合、日本刀特有の刀身の反り具合や長さ、身幅に合わせた専用の鞘が必要になり、その鞘を専門に作る鞘師と呼ばれる職人も存在します。

 

 

鞘の材質

日本刀が現役の時代には、鞘の材質にはホオノキを使うのが一般的でした。ホオノキには

 

  • 軟質でありながら適度な強度もあるので刃を傷めにくい。
  • 質感が均質なので、漆塗りなどの表面仕上げにも適している。

 

といったメリットがあり、鞘制作に最良の材質として認知されていました。

 

実際の鞘の制作工程については日本刀の鞘の作り方にて詳しく解説しています。

 

鞘の部位の名称

鯉口(こいくち)・小尻

鯉口は刀身を差し入れる方の名称です。その逆の側を小尻/鐺(こじり)と呼びます。

 

差裏・差表

腰に刀を差したとき、鞘の体に接する部分を「差裏」(さしうら)、体に接しない外側の面を「差表」(さしおもて)と呼びます。

 

栗形・下緒

差表の腰にくるあたりには「栗形(くりがた)」と呼ばれる部位があります。この部位に下緒(さげお)を通して帯に固定しておくことができます。