日本刀の作り方1:水減し/積沸かし/鍛錬

日本刀の作り方のSTEP1では、刀身の大本となる質の高い鋼の作成を行います。

 

日本刀制作STEP1の流れ

原材料の調達

日本刀の原材料である玉鋼を調達します。

 

山で砂鉄を採取し、それを炉で木炭を使い低温で還元、純度の高い鉄、すなわち玉鋼を作ります。この鉄の製法を「たたら炊き」といいます。

 

サーベルなど海外の多くの刀剣は鉄鉱石を原料としますが、砂鉄を原料とするのは日本刀ならではといえます。砂鉄は不純物が少なく、良質な鋼を製造するのに向いているのです。

 

水減し(みずへし)

熱した玉鋼を鎚で打ち、水で急速に冷やすことで、余分な炭素が入っている部分を剥ぎ落とします。この工程を水減しといい、残った硬い塊をへし金といいます。

 

原料の製造からこの水減しまでの作業は「へし作業」と呼ばれる地金作りの工程です。

 

積沸かし

へし金を鎚で叩き粉砕し、小片を炭素の多い硬い鉄と柔らかい鉄に分別し、分別した鉄を「てこ」と呼ばれる鍛錬用の道具の先に崩れないよう積み重ね、和紙でくるみます。

 

そして和紙の表面に藁炭をつけ、さらに粘土汁をかけて、火床(ほど)と呼ばれる炉にいれ、表面の粘土が溶けるくらい(1500度程度)に加熱します。

 

藁灰と粘土には鉄の酸化による焼き減りを防ぐ効果があります。

 

加熱で鉄が溶け出し柔らかくなったら、加熱部分を鎚で叩き延ばし、幅60mm/長さ90mmの土台を作ります。

 

鍛錬(下鍛え)

赤熱している土台の中央に折り目を入れて、折り返し重ね、向こう鎚と呼ばれる大きなハンマーでまた叩き延ばします。

 

そして延びたらまた折り返して叩き延ばす…ということを5〜7回繰り返します。この工程を鍛錬(下鍛え)といいます。

 

下鍛えにより、鋼の炭素などの不純物を除去・均質なものにし、実用にふさわしい硬度に鍛え上げていくのです。