日本刀研磨の工程(研ぎ方)

日本刀研磨の工程は下地研ぎと仕上げ研ぎの2工程の進行になります。

 

前半:下地研ぎ

下地研ぎでは地刃のムラをなくし、刀身の姿を整える作業を行います。峰・平地など刀身の部位によって、研ぎ方を変える所がポイントです。

 

また研磨の際には水を使用しますが、錆びを防止する為に洗濯ソーダ(重曹)を混合させたものを用います。

 

使用する砥石

また使用する砥石は、最初は荒い物を使用し、地肌の状態を見ながら徐々に細かいものに変更していきます。以下の砥石は下にいくほど目が細かくなります。

 

  • 金剛砥
    錆び付きが酷い場合や刀工が荒砥までしかしていない場合に使用する目の荒い砥石です。
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  • 備水砥
    錆びを落としたり姿を整えたりするのに使用します。金剛砥ほどではありませんが、目の荒い砥石です。普通下地砥ぎではこの砥石から使います。
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  • 改正名倉砥
    備水砥で砥いでついた跡を消す為に使用します。
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  • 中名倉砥
    改正名倉砥石でついた跡を消す為に使用します。
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  • 細名倉砥
    最も細かい名倉砥で、中名倉砥の跡を消す為に使用します。
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  • 内曇砥:刃砥
    非常に細かく柔らかい砥石です。この砥石を使う場合「砥ぐ」ではなく「内曇を引く」と表現します。刃文を白くし、働きを引き出します。
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  • 内曇砥:地砥
    刃砥より硬い細かい砥石で、地に現れる見所を強調します。

 

後半:仕上げ研ぎ

仕上げ研ぎでは、主に親指で砥石を扱い、さらに細かい研磨を行っていきます。流れとしては以下の通りです。

 

  1. 下刃艶
    薄く割った内曇砥を使って、下地砥ぎによりついた細かい目を抜いていきます。
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  3. 地艶
    1mm以下に薄くした鳴滝砥を刀身にのせ、親指を使って地鉄の見所を引き出すように研いでいきます。
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  5. 拭い
    鉄肌(かなはだ)という微細な鉄粒を刀身にのせ、青梅綿で磨いていきます。この工程で砥石の跡はほぼ見えなくなり、ムラのない非常に綺麗な地肌になります。
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  7. 刃取り
    前項の「拭い」により黒くなってしまった刃文を再度白くする為に行います。
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  9. 磨き
    磨き棒を使用し、刃の白さや地の青黒さ、鎬の線などを強調し、刀身のグラデーションを明瞭にします。
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  11. ナルメ
    切先の部分を白くする作業です。
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  13. 流し
    帽子の裏棟、ハバキ元などに研ぎ師のサインを入れる作業です。

 

以上で日本刀研磨の工程は以上になります。ここまでの全行程に10日から2週間程度かかります。